起業する前から、営業職をしてきたので、断られる”痛み”は僕もよく知っています。起業しても、商品・サービスを買ってもらう為には、営業(セールス)が必要場面も多々ありますよね。
売り込むが苦手!出来るなら、向こうから売ってくれって言ってほしい!!・・・と思っている人は少なくないと思います。実はお客様が欲しくなる心理状態を意図的に作る方法があります。
今日は「売り込まずに売れる状態」とはどんな状態で、どうすればその状態を作れるのかについてのお話です。考え方さえ理解すれば、売り込まずに売れる状態を実現することができるようになるので、参考にしてくださいね。
- セールス・売り込みが苦手な方
- お客様が欲しくなる心理状態を知りたい方
- お客様の購買心理について理解を深めたい方
売り込まずに売れるって本当?
ご存じかどうかは重要ではありませんが、
巷では多くの起業コンサルが「高単価商品が売り込まずに自然と売れるコンサル」みたいなサービスを展開しています。(ググれば沢山出てきます)

うわっ!なんやそれ!
めっちゃ怪しいやん!!どうせ情報弱者を狙った悪いサービスなんちゃうか??
あかんで!!!

うん・・・まぁ、ここだけ切り取って言うと怪しく感じるよね💦
でも、現実にそういう状態はつくることができるんだよ。
これを説明するためには、2つの力学を考える必要があります。
「力学」とかちょっとカッチョ良く言ってみたかっただけで、別に難しい話じゃないのでご安心ください。普通にあなたが普段感じていることを視点を変えて可視化してみます。
前提!期待の力と不安の力
例えば、自分専用のオーダーメイド枕で考えてみましょう。こちらの【例文】に目を通してみてください。
【例文】
自分に合ってない枕を使っていると、睡眠が浅くなり、疲れが取れず、頭痛や体調不良の原因となります。当社でオリジナル枕を作ると、睡眠の質が向上し、目覚めの良い朝を毎日迎えることができます。たったの5万円で、高級なマットレスを買うよりもお得で、効果も期待できます!
こんな売り文句を見て、睡眠を改善したいと思っている人や、日中なんか疲れを感じるという方の多くは「あ、いいかも!」って思うことでしょう。
つまり、この枕にニーズを感じ、効果を期待する訳ですね。
欲しいかも!…の次に来る感情
マーケティングというのは超絶抽象化すると「正しく期待してもらうチカラ」なので、こうやって期待感を持って貰うことが大事なんです。(提案されたものが期待が「無」だったら欲しくならないですよね?)
でも、余程大きな期待を抱かない限り、そのまま購入することはありません。
なぜなら、「あ、いいかも!」って思うと同時に、全く反対の別の力が働くからです。
図解にするとこんな感じ。


この図のように、「あ、それいいかも!」という購入を後押しする「期待する力」と同時に「でも・・・〇〇かもしれない」という購入にブレーキをかける「不安の力」が生じます。
売れない状態とは・・・?
では、充分な期待感を得ているにも関わらず「売れない状態」というのは、どんな状態でしょうか?
一言で言えば、期待よりも不安が上回っている状態です。どんなに期待していても、不安の方が大きければ買いませんよね?
図にするとこんな感じ。


この不安の力は、商品・サービスの価格が高くなる程、大きくなります。まぁ、当たり前ですね。100円のグラスワインは気軽に試せても、10万円のボトルワインは買うのを躊躇するもんね。
知覚リスク
ちなみに、お客さんの不安材料は「知覚リスク」と言われたりします。
名前自体はどうでもいいですが、意外と沢山あって、例えば以下のようなものがあります。
身に覚えありませんか?
- 品質や機能・効果はあるのか?自分に合うか?
- 本当にその「価格」に見合っているのか?
- 他人や周囲から「ヘン」に思われないか?
- 恥ずかしい思いや嫌な思いをしないか? などなど・・・
もっと詳しく知りたい方は購買を妨げる心理・知覚リスクの種類と事例!チャンスを逃してない?という記事で詳しく解説しているので併せてどうぞ。
本題!売り込まずに売れる状態とは
では、ここからが本日の大事な話。
「売り込まずに売れる状態」というのは、先ほどの逆で期待が不安を大きく上回っている状態です。
この状態であれば、あとは「こんなサービスがありますよ」って情報提供してあげるだけで、セールス・売り込み・説得をしなくても自然と売れるということが起こります。
図にするとこんな感じ。

購入への期待が、不安を大きく上回っているので、購入してくれるわけです。
そして、上図のような状態というのは、意図的につくることが可能です。
考え方自体はとてもシンプルです。
むしろ、お客様目線に立ちかえると「そりゃそうだね・・・」って思ってしまう内容です。
売り込まずに売れる!の方法
意図的に作るということは、期待を大きくして不安を小さくするための体験を準備するという意味です。
じゃあ、その為に僕たちは具体的に、何をどうしたら良いか?
その考え方の1つが、商品設計(商品の役割設計)です。ここから先は商品設計のお話をしていきます。

んん…?? 商品設計とな?
えっと・・・新しい商品をつくるってことかいな?

・・・というよりは、商品の「役割分担」を決めることなんだ。別に特別な難しいことでもなくて、実は日常的に身の回りで行われているんだよ。
ざっくり一言でいうと、お客様にとってリスクの小さな手頃な価格で商品を試してもらって、信頼してもらってから高い金額の商品を買ってもらうということです。
分かりやすいので、「日本酒」を売る(買う)場合を参考に解説します。
例えば、日本酒の場合

初めて見る銘柄のちょっと良い価格の日本酒があるとします。
それを、いきなり一升瓶では買いにくいですよね。「口に合わなかったらどうしよう?」みたいな不安がよぎるからです。(別に日本酒じゃなくても不具合はないので、日本酒飲まない方は、別の飲み物にでも置き換えてくださいw)
だったらどうするか?その購入体験の流れのことを「商品設計」と呼んでいます。
商品の購入体験の流れ
一例です。
少し大げさかもしれませんが、イメージしやすいと思います。
スーパーやディスカウントストアで無料の試飲を進める!
▼
お試しで買いやすい価格、例えば100円~200円くらいの「ワンカップ」で買っていただく
▼
期待以上に美味しければ、何度か購入して試して、毎晩飲みたいヘビーユーザーになると、一升瓶で買ってくれて、リピートもしてくれる可能性が大きくなる
・・・みたいな感じです。
つまり、リスクの低い低価格の商品で試してもらって、商品に対する「ニーズ・期待」が大きくなって、「不安」を小さくすることができたから、高価格の商品も売り込まずに売れた…ということです。
これが、ここでいう商品の役割設計です。
信頼される前に高い商品を売ろうとしない
いきなり高い利益を得ようとするから、売れないんです。
昔の商品が良く言っていた「損して得とれ」ってやつですね。
商品の役割を分類すると、大きく3つに分けられます。日本酒の場合・・・
- 店頭の無料試飲で「知ってもらう商品」
- 低価格のお試しで「信頼してもらう商品」
- 商品単価の高い「利益を出す商品」
・・・のように役割と振り分けます。
市場弱者の商品設計の教科書
今ならメール講座登録の特典として、さらに詳しい商品設計の作り方(特に個人・中小企業といった市場弱者の商品設計)についてのE-bookを配布しているので、良かったらコチラからどうぞ。
※予告なく終了する可能性があります。リンク切れてたらごめんなさい。
この記事のまとめ
いかがでしたか?
以上のように、商品・サービスを購入するときには頭の中で、購入を後押しする「期待する力」と購入にブレーキをかける「不安の力」のせめぎ合いが起こります。
日本酒の例で見てきた通り、お試し価格の商品で「味」を実際に体感してもらって、商品に対する期待を大きくし、不安を小さくするという手法をお伝えしました。
他にも、商品・サービス以外の機能や使い方以外の不安を、「よくある質問」「ブログ」「ニュースレター」等であらかじめ対策をしておくことも有効です。
余程、期待が大きくない限り、不安が浮かんだ時に、お客様はイチイチ確認せずに、大抵の場合はそのまま「めんどくさいな。ま、いっか」となるからです。その方法については、【動画】図解で解説!お客様が買わない理由を先回りして潰す方法という記事で紹介しているので、ご興味があればどうぞどうぞ!!
価値を伝えて期待を大きくする(例:独自のウリ、差別化の立ち位置を明確にして発信する)ことの重要性を明言している情報は多いですが、意外と不安を小さくしてあげるということは見落としがちです。
でも、一緒に見てきたように不安を小さくすることも同じくらい重要ということです。是非、併せてご確認ください。