「あなたは何屋さんですか?」
すご~くシンプルな質問ですが、これは商売の方向性を問う、ものすごく本質的な質問です。コレが決まれば、売れる戦略が決まったと言っても過言じゃありません。

そんなん、簡単やん!
ボクはお野菜売ってるから、八百屋さ~ん♬
へい、らっしゃ~い!!

BUTAくんの設定、八百屋さんだったんだね・・・。
じゃあ、聴き方を変えるね。お客さんは商品・サービスではなく価値を買っています。あなたは、どんな価値を売る「何屋さん」ですか?

ん・・・?
ごめん、もっかい言って?
色んなところで見たり聞いたりしたことがあると思いますが、お客さんは商品・サービスそのものが欲しい訳じゃありません。それによって得られる価値が欲しいんですね。(お客さんに自覚があるかは置いといて)
さて今回は「何屋さん」かを定義できたら、具体的な戦略・商品・情報発信ツールなどぜんぶ変わりまっせ!という「やさしい戦略論」のお話です。
出来るだけ分かりやすく書きます。どうぞ、最後までお楽しみください。
お客様が期待する価値で定義してみよう
「あなたは何屋さんですか?」
この質問に答えられるということは、あなたが商売相手に選ぶべき特定のお客様の、特定の期待する価値がクリアになっているということです。
「何屋さん」かという定義を商品・サービスそのものではなく、お客様の期待する価値で定義する!という内容のお話なんだな…っていうところまでは、何となくご理解いただけたでしょうか?
こんなんじゃ、まだ分かりにくいかもしれんので、ここからは、具体例をお出していきます。

ちなみに、「期待する価値」というのが、ピンと来なければ「お客様の目的」と脳内変換していただくのもありです。
例えば、八百屋さんの場合

分かりやすい例として、架空の2つの八百屋さんで考えてみたいと思います。
八百屋さんが目に見える商品・サービスとして売っているのは、もちろん野菜や果物ですよね。
しかし、お客様が価値を感じてお金を払っている対象は、野菜や果物を買うことで「得られる嬉しさ(価値)」です。
これ前提。
2つの八百屋さんを比べて考えてみよう
例①の八百屋さんの場合
お客様は、入院している友達のために、「フルーツ詰め合わせ」を買っていきました。この八百屋さんは、お客様から見て「何屋さん」ですか?
例②の八百屋さんの場合
お客様は、夏バテ気味の家族のために、「元気の出る夏野菜」を買っていきました。この八百屋さんは、お客様から見て「何屋さん」ですか?
なんとなく分かりますか?
この段階では、なんとな~~~くで大丈夫!ぼや~っとでも輪郭つかめればOK!
まだちょっと質問が漠然としているので、そっち方面に具体化していきます。
お客様が思い浮かべるカテゴリー
何屋さんか?
…というのは、お客さんが頭の中で思い浮かべるカテゴリーです。ここでは、そんなに難しく考えなくてもOKです。
- コーヒー飲みたいなら、コーヒー屋さん
- 車を直してほしいなら、車の修理屋さん
- 文房具を買いたいなら、文房具さん
・・・みたいに、頭の中でするカテゴリー分けです。
それを、商品・サービスのカテゴリー分けするのではなく、「お客様が期待する価値・目的・嬉しさ」でカテゴリー分けしましょう!・・・というのが今回のお話です。
なぜ、そんな七面倒くさいことをするのか?
実際に何かを期待して購入するときに、お客様がそう考えるからです。それに従って商売を設計すれば、お客様目線の売れる商売を実現することができます。
見ていきましょう。
例①の八百屋さんの場合
お客様は、「野菜が売っている」ということを期待して来店したのではないのです。
もっと具体的にお見舞いの贈り物として果物が買える!という期待を持って来店しているはずですよね?にんじん、玉ねぎ、きゅうり、キャベツは今はどうでもいいのです。
そう考えるお客様の定義は、単なる八百屋さんではなく・・・「お見舞いの贈り物屋さん」と定義することができます。
では、この価値・期待をもっと高めて、お客様がさらに価値を感じてくれるようにするためには、何をすれば良いでしょう?
「価値を高める」というのは、お見舞いの贈り物を買う上で、より喜んでもらうために、どうするか?…ということです。
例えば・・・
- メッセージカードを添付するサービス
- 病室でも食べやすいようにカットするサービス
- 病室に食器がないかもしれないから、紙皿やフォークも一緒に売る
みたいなことを行ってみるのも良いでしょう。
例②の八百屋さんの場合
続いて、例②の八百屋さんです。
この場合は、がっつり野菜を買いにきていますが、実はこれももっと具体的な期待があります。買っているのが、「元気の出る夏野菜」ということは、例えば以下のように定義しても良いかもしれません。
このお客様から見た定義は・・・「元気の出る食材屋さん」と言えなくもありません。
(ちょっとヘタクソww)
では、この価値・期待を高めていくために、何をするか? 同じように、元気の出る夕食の材料を買う上で、より喜んでもらうためどうするか?ということです。
例えば、
- 旬の野菜の情報や豆知識を伝えるサービス
- スタミナ料理のレシピなどをお渡しするサービス
- 夏バテ防止の情報や豆知識を伝えるサービス
みたいなことを行ってみるのも良いでしょう。

なるほどねぇ~~!途中までコイツ何言ってんだ?って思ってたけど、具体的にやることが違うというのは、メッチャ分かるわ!てか、これメッチャ大事なんちゃう??

そうなんだよ。同じ八百屋さんという業種業態でも、お客さんの「特定の価値」にフォーカスしてみると、これだけやることが変わってくるんだ。
さらに重要な点があるよ!!
競争相手・競合も変わる
例えば、「お見舞いの贈り物」を買いにきたお客さん。欲しいものは、野菜・果物ではなく「お見舞いの贈り物」ですよね?
お見舞い品は八百屋で買わなきゃダメ!!っていう家訓でもない限り、どこで買おうと自由です。つまり、どこの八百屋さんで買おうかしら?」みたいな限定的な選び方はしていないということです。
「お見舞いの品」を買いたいという期待を満たそうと思う時に、そのお客様が選ぶことができる選択肢として、頭に浮かぶ対象が競合です。
例①の八百屋さんの場合
本屋さん、花屋さん、シャディのサラダ館
例②の八百屋さんの場合
肉屋さん、魚屋さん、サプリメント
・・・みたいなんが、浮かぶかもしれませんね。(シャディのサラダ館知ってます??)

確かに、ボクも選ぶときにイチイチ業種のことなんて考えてへんわ。

そうやって、お客さんの立場になって考えていくと、本当に競う相手はスーパーやディスカウントストアじゃないかもしれないよね。

確かに!!
お見舞いの贈り物買いたい!と思ったときに、日用品が売ってようが、他の野菜が売ってようが関係ないもんな。それより、メッセージカードやったり、なんやったらお見舞い用のお花とか一緒に売ったら喜んでくれるかもなっ!
具体的に考えられる戦略5原則
以上のように、お客様の嬉しさ・期待する価値の視点で「あなたは何屋さんですか?」 というのを考えると、よりお客様の立場に立った商売を設計しやすくなります。
でもって、方向性を決めることで、やらないことを決め、やるべきことに集中することを『戦略』と言います。戦略って難しそうに聞こえるけど、ただこんだけの話です。
具体的に考える為の最善策
ここまで頑張って読んでくれた方は、理屈は分かったけど、どうやって考えるねん、それ!!って思ってたりしません?僕ならするんで、きっとあなたも思ってる前提で話を続けます。
今しがた書いた通り、これは「何屋さん」かを決めるのはかなり戦略ちっくなお話です。とはいえ、巷の戦略理論はちょっと難し過ぎたりします。
そこで、たぶん一番手軽に確実に考えられる方法が『戦略5原則』ではないかと思っているのでご紹介します。専門知識がなくても、効果的に使えるようにずっと研究してた代物で、2024年10月に書籍にもなりました。
図解を見せるとこんな感じ。
A4一枚の紙にまとめて超絶シンプルに使えます。

長~~~~~~~~~~~くなっちゃうので、詳しくは戦略5原則は知識0でも顧客視点で売れる強みが作れるお手軽戦略ツールという記事をご参照ください。もしも、何屋さんか分からずグヌヌヌ…!!!ってなった人には、きっと役に立てるはずです!
この記事のまとめ
いかがでしたか?
お客さんから見て「何屋さん」なのか決めるのは、すべての事業活動の軸ともいえるめちゃくちゃ重要な問です。
「お見舞いの贈り物屋」さんは、旬の野菜情報やスタミナ料理のレシピを配ってる場合じゃないし、「元気の出る食材屋」さんは紙皿・紙コップ用意してる場合じゃありませんよね?
もっと喜ばれる売り物を用意して、それを必要としてくれるお客様に情報を発信し、コミュニケーションをとることに時間もお金を割くべきでしょう。
商品・サービスが飽和する売れない今の時代。それを見つけた人が生き残ります。
それが出来て、一つ一つの言動を、お客様の期待に向けて統一して、このお店は『〇〇な期待・嬉しさ、ニーズを満たしてくれるんだ!!』とお客様に特定の認識・イメージを持ってもらうことをブランディングと言います。(別に、言葉は覚えなくていいです)
あなたも、是非、お客様の期待する価値から「あなたは何屋さん」なのか定義してみてください。きっと、やるべきことが今よりもクリアになります!動きやすくなりますよ♬
動画で見たい方はこちら
少しだけ別バージョンの解説になっているので、より多面的に理解を深めたい方は参考にすると良いかもです!