マーケティングの神様、フィリップ・コトラー教授は、時代背景やテクノロジーの進化を鑑みて時代時代でマーケティングのコンセプトを定義してきました。
作れば売れる時代に始まったマーケティング1.0
その時代から現在はスマホを片手にSNSに繋がりながら買い物をする4.0の時代へ。
どのようにマーケティングが進化してきたのか、その変遷を図解で解説してみました。

この動画を見れば、マーケティング1.0~4.0のそれぞれのトレンドが分かります。また、これらはキッパリ分かれているものではなく、混在しながら現在でも実施されていることが分かります。
マーケティング1.0~4.0を解説

マーケティング概念は以下のように進化してきました。
- 1900年代~ 製品中心の1.0 (大量生産・大量消費)
- 1970年代~ 顧客中心の2.0 (顧客にとっての価値)
- 1990年代~ 価値中心の3.0 (製品価値を超えた、精神的な価値)
- 2010年代~ 自己実現の4.0 (デジタル普及と自己実現の応援)
詳しくは動画で動く図解を使って解説しますが、ここでは簡単に概要だけまとめておきます。
製品中心の1.0 (大量生産・大量消費)
マーケティング1.0は戦後復興のモノが足りない時代で、大量生産・大量消費のマーケティングです。
企業は「良いモノを作れば売れる」と信じ、製品の機能や品質にフォーカスしていました。どのように効率的に作るかということが命題で、大量生産・大量消費のマーケティングでした。
認知・知名度が重要になるので、テレビやラジオCMなどのマスマーケティングが力を発揮した時代です。
顧客中心の2.0 (顧客にとっての価値)
マーケティング2.0は、市場が成熟しモノが溢れ出した時代のマーケティングです。
モノがあふれ始めたことで、作るだけでは売れない時代になりました。お客様は「自分にピッタリ」のものを選択するようになったので、売り手も顧客のニーズを理解することが求められ始めました。
その結果、具体的なお客様のニーズを狙うために、セグメンテーションやターゲティングといった考え方が登場し、マーケティングは「お客様目線」での価値提供にシフトしました。
価値中心の3.0 (製品価値を超えた、精神的な価値)
マーケティング3.0は、モノが充足して精神的な価値を求める時代のマーケティングです。
製品の機能や価格だけでなく、企業の姿勢や社会的価値が重視されるようになりました。顧客は商品を通じて「自分の価値観に共感できるか」を見るようになり、CSR(企業の社会的責任)やブランディングが注目され始めます。
「企業の理念」や「物語」が購買に影響するようになり、感情や共感が鍵となるマーケティングが台頭し始めます。
自己実現の4.0 (デジタル普及と自己実現の応援)
マーケティング4.0は、デジタル機器の普及と自己実現を求める時代のマーケティングです。
SNSやスマホの普及により、お客様自身が発信者になり始めます。単なる消費ではなく、自分らしい生き方やつながりを求めて商品・ブランドを選ぶようになり、企業は顧客の「自己実現」や「共感」を応援する立場に変わります。
双方向コミュニケーション、ファンづくり、コミュニティ形成がマーケティングの主戦場となっていきました。
完全に変遷はせずに、実際は混在する
それぞれ時代背景による顧客の変化やテクノロジーの進化により、マーケティングの在り方は変わってきました。ただし、例えば1つの企業の中でも2.0と4.0、1.0と2.0が混在する等、パッキリと区切れるものではありません。
すべての業界・商材がSNSを巧みに利用したファンづくりをしている訳もなく、未だに1.0から2.0の切り替え場面の業界があるかと思えば、SNSは活発に使っていたりゴチャゴチャです。
さらには、2021年にはAIやIoTなどの先端技術を使って、お客様の購買までの流れ全体で、価値を届けたり高めたりする5.0という考え方も提唱されています。もっと言えば、6.0の時代も見えているそうです。
今後も加速度的に進化し続けていくマーケティングをどのように捉え実践していくか、参考になれば幸いです。動画では、それぞれの市場の動きやトレンドを図解を使って分かりやすく解説しています。