今回はいくつもの経営戦略論をシンプルにまとめて使いやすくした現代の最強戦略フレームワークとも言える佐藤義典氏 考案の戦略BASiCS理論をご紹介します。
本来、戦略フレームワークとは経営者が事業を上手く進めていく為の羅針盤のような「道具」であるべきですが、既存のフレームワークはどれもこれも難しく煩雑で複雑。
とても忙しい経営者が学び、使いこなせるものではありません。この戦略BASiCSはそういった課題を解決できるように考案されたものです。
佐藤義典氏とは?

まず最初にこの「戦略BASiCS」を考案した佐藤義典氏について、簡単にご紹介させていただきます。
知ってる方、興味ない方はスルーして次に進んでください。

Amazonのビジネス書籍ランキングにも何冊か毎度毎度ランキングされるほど、多くの素晴らしい書籍を書いていらっしゃいます。
僕も大ファンで、ほとんどの本を購入して熟読させていただいています。
一番有名な書籍としては、「ドリルを売るには、穴を売れ」という本だと思いますが、イタリアンレストランをマーケティングで立て直そう!というストーリーで、覚えるべき基礎理論をビックリするくらい分かりやすく解説している人気の入門書です。
興味ある方は、このブログでも解説した記事があるのでそちらをどうぞ。
王道の戦略理論は5つに分類できる
古今東西、世の中には様々な経営戦略のフレームワークが存在します。
経営やらマーケティングの本を読むと、どこかで1回は見たことあるような内容ですが、それぞれの経営戦略理論は、大きく下記の5つに分類できます。
それがこちら👇

- 戦場型:儲かる戦場にいれば、儲かる
- 独自資源型:競合にない独自の資源があれば儲かる
- 差別化型:差別化された商品・サービスがあれば儲かる
- 顧客型:顧客を理解し、そのニーズに応えられれば儲かる
- メッセージ型:シンプルで魅力的な売り方・伝え方ができれば儲かる
例えば、戦場型の経営戦略理論としてはマイケル・ポーターの理論が有名です。
差別化型としてはブルーオーシャン戦略、顧客型としてはフィリップ・コトラーが提唱する理論等が入ると、分類されています。(尚、これらの言葉は覚えなくて良いです)
どの理論でも経営で成果を出すために必要なことは?ということについての理論ですが、各理論で主張している「本質」を簡単にまとめると、以下のようになります。

では、実際に経営をしていく上でどの理論が大事で優先すべきなんでしょうか?
その答えが戦略BASiCSにあります。
王道理論を統合した最強フレームワーク
結論としては、どれも大事で、どれも考えるべきというものです。
1つ1つを違う戦略として別々に考えるのではなく、全部繋がっていて、全部大事だから、1つ1つを要素として、同時に考えちゃおうぜ!っていう内容が戦略BASiCS理論です。
図解にするとこんな感じ👇


コレだけだと少し抽象度が高くて分かりにくいと思うので、「Amazon」を例に、戦略BASiCSの考え方を解説していきます。縦の一貫性に注意しながら読み進めてください。
Amazonの例

日常的に利用しているAmazonのビジネスを戦略BASiCSに当てはめて考えてみましょう。
日常的に利用してない人も多分大丈夫です。
BATTLE FIELD(戦場)
最近はデバイスの販売、コンテンツ事業など幅広くやってるAmazonですが、今回は初心にもどって「書籍・家電等の販売」ということで考えてみます。
BATTLE FIELD(戦場)・・・つまり、どの「市場」で戦っているか?ということです。市場の中には「お客様」と「競合」がいるので、どんなライバルと競合しているか考えていきます。
なので、ここでは「書店・家電販売店」としておきます。
Aset (独自資源)
次は、Aset(独自資源)・・・つまり、Amazonの持っている強みの元です。
これは、次の「STRENGTH(強み)」とセットで考えていきます。
ここで聞かれているのは、お客様が選ぶ理由になるものではなく、その選ぶ理由を中長期的にマネされず独自の価値として支える材料(資源・リソース)を聞いています。
競合がなかなか真似できないAmazonならではの資源として、ここでは以下のものを挙げておきます。
Ⓐ自社倉庫・翌日配送
ⒷWeb・ノウハウ
STRENGTH(強み)
次は、STRENGTH(強み)
・・・つまり、お客様の五感に触れて、お客様が「それならほしい!」と選んでくれる要素になるものです。
ASETと紛らしいのですが、STRENGTHはあくまでも「お客様にとって価値のあること」で、ASETはその価値を支えるものです。
もっと簡単に言うと、STRENGTHはお客様には嬉しいけど、ASETはお客様にとっては嬉しいものそのものではない!ということです。ただし、それがあるから競合にはマネできない強みを創ることが出来る!という強みの源泉のようなものです。
STRENGTHは、ASETとセットで考えていくものなので、先程のⒶ・Ⓑがあるからこそ、こんな強み(お客様が選ぶ理由)になるというものになります。
Ⓐなんでもスグ届く
Ⓑ注文しやすいWebページ
CUSTOMER(顧客)
4つ目の要素は、CUSTOMER(顧客)・・・つまり、ターゲット顧客は誰か?ということです。
縦の一貫性が重要なので、これまでの内容を踏まえて、どんな人の刺さるのか?を考えてみると良いでしょう。きっと、忙しくて店に行けない人/実物を見ないで買える人みたいな感じでしょう。
ちなみに、順番的に4番目になっていますが、戦略BASiCSはすべて繋がっているので、どこから考えてもOKです。最終的に具体性と一貫性がとれればOKです。
SELLING MESSAGE(売り文句)
最後は、SELLING MESSAGE(売り文句)です。
多くの経営戦略論では、1つ目~4つ目まで考えることはあっても、最終的にお客様に「どう伝えるか?」ということが抜けてしまい、結果的に戦略が戦術レベルに落ちていかない…!
なんなら、戦術に落とし込む時には、ベツモノに置き換わっているということが多々あります。
戦略BASiCSの最大の特長としては、最終的に戦術レベルに落とし込むための「売り文句」まで一貫性をとるところですね。ちなみに「戦術」と言うのは簡単に言うと「商品」「価格」「顧客接点」「プロモーション・情報発信」などすべてです。
SELLING MESSAGE(売り文句)の役割は、そういった戦術すべてを同一の方向に向ける「旗印」のようなもので、Amazonの場合は『And Your Done ™』となっています。

途中で戦略だ、戦術だって書いちゃったけど、マーケティングには「戦略レベル」と「戦術レベル」があります。その辺については、こちらの記事が分かりやすいのでオススメです。ちなみに、BASiCSは「戦略レベル」のフレームワークです。
この記事のまとめ
他の経営戦略フレームワークは、使うツールが多く煩雑でかなり難しいです。
実際にそれらのツールを統合して1つの戦略を作り上げていくのは並大抵のことでありません。戦略BASiCSは、1枚の紙に並列で考えまとめることができるので、シンプルで奥が深く使いやすいツールになっています。
尚、僕が考案してブログ・動画でご紹介している戦略5原則のほとんどは、実のところ戦略BASiCS理論がベースになっています。BASiCSの方が高度な分析ができます。
参考書籍
戦略BASiCSが学べる書籍は何冊かありますが、僕はこの本がオススメです。ストーリーで物語を楽しみながら学ぶことができます。ストーリー自体もかなり面白いので是非読んでみてくださいね。