マーケティングの本にかなりの頻度で出てくるSWOT分析。
自社の状況を整理し、その後の戦い方を考えやすい便利な分析ツールです。見よう見まねで使ったことある方も多いはず。
今回は、手軽に使える便利なSWOT分析ですが、使い方を間違えるとチャンスを逃すということについて解説します。
この記事では、SWOT分析の危険性・正しく使う使い方、タイミングが理解できます。
SWOT分析で戦略を考えている方は、危険性もあるので、是非参考にして使いどころを間違わないようにご注意ください。
使いやすいフレームワークSWOT分析とは?
SWOT分析とは、自社の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を整理・分析するフレームワークです。
図解にするとこんな感じ👇

内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を明確にすることで、戦略立案の方向性や優先順位を見極めるのに役立つツールで以下のような特徴があります。
- 客観的に現状を把握できる
- チーム内で共通認識を持ちやすい
- 強みを活かし、弱みをカバーする戦略が立てやすい
- 外部のチャンスに乗り、リスクに備える行動がとれる
シンプルですが汎用性が高く、企業だけでなく、個人のキャリアやプロジェクト分析にも応用できます。
それぞれ簡単にみてみましょう。
強み(Strength)
他と比べて自社や自分にしかない優れた点や、競争で有利になる要素のことです。つまり、「これがあるから勝てる」という武器です。
たとえば…
- 企業の場合:
- 高い技術力
- ブランドの信頼性
- 長年の顧客との関係
- 独自のノウハウ
- 社員のモチベーションやスキルの高さ
- 個人の場合:
- プレゼンが得意
- 人脈が広い
- 行動力がある
- 分析力や論理的思考力に優れている
弱み(Weakness)
自社や自分にとっての課題や不利な点のことです。競争や成長の妨げになる要因で、「これがあるせいでうまくいかない」となる部分です。
たとえば…
- 企業の弱み:
- 知名度が低い
- 資金力が乏しい
- 営業力が弱い
- 特定の人材に依存している
- データ活用が遅れている
- 個人の弱み:
- プレゼンが苦手
- 自己管理が甘い
- 新しいことへの挑戦を避けがち
- ミスを引きずる
- ストレス耐性が低い
機会(Opportunity)
Opportunity(機会)とは、外部環境における自社や自分にとってプラスになる変化やチャンスのことです。放っておくと他社に取られるけど、つかめば成長・成功につながる“追い風”です。
たとえば…
- 企業にとっての機会:
- 市場の成長(例:健康志向の高まり)
- 新技術の登場(例:AIやDX)
- 法改正(例:補助金制度の拡充)
- ライバル企業の撤退
- 海外需要の増加
- 個人にとっての機会:
- 業務のデジタル化が進み、自分のスキルが活かせる
- 人脈が増え、新しい仕事の紹介が来る
- 副業解禁の流れ
- 資格制度の変更でチャンスが広がる
脅威(Threat)
Threat(脅威)とは、自分や自社の努力ではコントロールできない外部環境の中で、成長や安定を脅かすリスクや障害のことです。
放置すれば業績悪化・信頼低下・衰退につながる「向かい風」です。
たとえば…
- 企業にとっての脅威:
- 強力な競合の出現
- 顧客ニーズの変化(例:若年層が紙媒体を使わなくなった)
- 原材料の高騰
- 法規制の強化
- 為替の変動や景気悪化
- 個人にとっての脅威:
- 職種の自動化・AI代替
- 自社の業績悪化による人員整理
- 業界そのものの衰退
- 若手人材の台頭によるポジションの縮小
クロスSWOTで方向性を決める
ここまでSWOT分析で自社の内部環境・外部環境を整理する考え方をご紹介しました。ここから更にクロスSWOTという手法を用いて、さらに自社の戦略・方向性を導き出していきます。
具体的には、以下の4つの視点で考えます:
- 強み × 機会: チャンスを最大限に活かす攻めの戦略
- 強み × 脅威: 強みでリスクを打ち消す守りの戦略
- 弱み × 機会: 弱点を克服すればチャンスになる改善戦略
- 弱み × 脅威: 危機を避けるための最優先課題
これらの内容をもとに、どのような事業の方向性にするか総合的に判断していくことになります。
SWOT分析とは意味がない!?
で、ごめんなさい。
これだけ紹介しておきながら、このSWOT分析に「待った!」をかけるのが今回の本題です(笑)
SWOT分析では「プラス要因」と「マイナス要因」を分けて考えるという特徴がありますが、気を付けなければならないのは、ここの基準です。
何が強みで、何が弱みなのか?何が機会で、何が脅威なのか?それ自体は意味付け・解釈次第で変わってしまうからです。
安くておいしいことは強み?弱み?
例えば、安くておいしい牛丼を提供するお店。
「安くておいしい」というのは、一見すると強みになります。しかし、記念日や接待で飲食店を利用したいお客さんからすれば、おいしいのはともかく「安い」ことというのは強みにはなりません。
これは分かりやすく極端な例を使っていますが、要するに戦い方、戦略、解釈、意味付け次第によって、強みは弱みに、弱みは強みになりますし、機会は脅威に、脅威は機会になります。
その判断の軸が曖昧なままSWOT分析を使っても折角のチャンスを逃すことになるかもしれません。
つまり、SWOT分析は出来上がった戦略に対して現状の情報整理をするには役立ちますが、それを元に戦略・方向性を決めるのはキケンということですね。
一見すると弱点や脅威の中に、千載一遇のチャンスが眠っているかもしれませんので、その点を踏まえてSWOT分析を活用されてください。
この記事のまとめ
いかがでしたか?
SWOT分析は、自社の強みや弱み、外部環境の機会や脅威を整理するための便利なツールですが、使い方を間違えると逆にチャンスを逃す可能性もあります。分析する際には、強みや弱み、機会や脅威の基準が曖昧にならないように注意が必要です。
SWOT分析を行う際は、直感的な解釈に頼らず、より多角的な視点で思考を深めることで、より実践的で有効な戦略を立てることができるでしょう。ぜひ、SWOT分析を使う際はその目的を明確にし、意識的に使いどころを選んでください。
動画で解説を見たい方はこちら👇