44ヶ国語で翻訳され、3,000万部を売り上げた世界的名著『7つの習慣』をご存知でしょうか?
「7つの習慣」自体はもちろんマーケティングの本ではありません。しかし、この本に紹介されている成功の原則は、マーケティング戦略にも当てはまります。…というか、マーケティング以外のすべての戦略に当てはまります。」
そんなわけで、「7つの習慣」にひもづけて、マーケティングにおける戦略の重要性について解説します。

読んだことない方でも問題ありません。
翻訳された洋書にしては読みやすいと思うので、気に入ったら一度は読んでみると良いかもです♬
7つの習慣とは?
はじめて「7つの習慣」を知ったよ!
って人のために、この本の概要を超カンタンに解説しておきます。
筆者はスティーブン・R・コーヴィー博士という方で、この方はアメリカ建国以来の「成功」について書かれた文献200年分を分析された方です。
その結果、分かったことは、最初の150年間は「人格を育もう」という原則論が書かれている本が多いのに対し、後半の50年は上辺のテクニックに終始する本が多かったと言うことが傾向として分かったそうです。
つまり、どういうことか?

いつしか、本質・原則よりも表面的なテクニックが重視され、売れるようになってしまったということです。
その中で、博士は大事なのはテクニックよりも原則!と捉え、人間として在るべき原則を7つの習慣としてまとめたものが、この本です。
この本は44ヶ国語に翻訳され、世界で3,000万冊も売れた、まさに成功哲学のモンスター本です。
マーケティングそのものについて書かれた本ではありませんが、企業経営・マーケティングにも通ずる言及もあり、今回はその中の『第二の原則』から話を展開しています。
すべてのものは2度つくられる
早速、該当の個所をご紹介します。
第2の習慣の章に、以下のような一節があります。
万物にはまず知的な第一の創造があり、
それから物的な第二の創造がある。(128頁)
どういう意味か訳すると、どんなものでも目に見える物体としてカタチが作られる前に、頭なの中で一度どんな完成図になるか作ってみるということです。
こんな風に訳しちゃうと「そりゃそうだよ!」って話になっちゃうんですが、コレがポイントです。

- 第一の知的創造:頭の中や紙の上で描く戦略・ビジョン・設計図
- 第二の物的創造:体を動かして組み立てカタチにする工程
「万物」と書かれている通り、これはすべてのものに当てはまります。
料理、工作、ブログ、YouTube動画、家電、車、企業。すべてです。もちろん、マーケティング活動もです。
マーケティング活動に置き換えると?
7つの習慣では、『戦略』という言葉では表現されていません。
具体的には、先にGOAL(目指すべき状態)を思い浮かべて、その後で実行に移さなければ「ハシゴを掛け違える」とあります。つまり、闇雲に動くのではなく、『終わりを思い描く(GOALをイメージする)』ということが重要という解釈です。
その考え方を図解でマーケティング活動(企業活動)におきかえると、こうなります。

これはいつも使っているマーケティング活動の全体像の図解ですが、最下層の青枠の部分は戦術部分はまさに目に見える物的な部分。今回の話でいうと、それも大事だけどその前にまず理念や戦略といった知的創造が必要ということです。
むっちゃ簡単に言うと・・・
- ミッション・ビジョン
- それに従ったターゲティング
- そのターゲットのニーズの把握
- そのターゲットから選ばれる理由の設計
・・・みたいな、マーケティングの戦略設計(上流設計)が第一の創造にあたります。
で、その第一の創造をカタチにしていくために・・・
- 商品・サービスの設計
- 価格や決済方法の選択
- 顧客接点、流通経路の設計
- ホームページ、SNS、広告等の情報発信
・・・みたいな、マーケティングの戦術展開で第二の創造を行っていくということです。
第一の知的創造を飛ばして失敗する例
第一の知的創造をすっ飛ばして、第二の物的創造をしてしまいがちな例を挙げていきます。
ホームページ制作
とりあえずテンプレートで作るが、誰に何を伝えるかが不明確。
「なんとなくかっこよくしたい」が目的になってしまう。
SNS発信
→ ネタが思いついたときだけ投稿。
→ 一貫した世界観やターゲット設計がないまま発信し、フォロワーが定着しない。
広告運用(Google広告・SNS広告など)
→ まずお金をかけて出してみるが、誰にどんなタイミングでどう伝えるかがあいまい。
→ LPの内容も「なんとなく作ったページ」になり、費用対効果が悪い。
名刺・パンフレットの作成
→ デザイン先行で「とりあえず作成」。
→ ターゲットや提供価値のメッセージが薄く、ただの紙切れになりがち。
LINE公式アカウントの開設
→ 友だちを集めても「その後何を配信するのか」が未設計。
→ 結果として登録者が離脱する。
動画コンテンツの制作(YouTubeやショート動画など)
→ とりあえずカメラを回して編集して投稿。
→ 誰のどんな悩みに応えるかが設計されていないため、見られない・広まらない。
チラシ配布・ポスティング
→ 印刷して配って終わり。
→ 「どんな生活導線の人に届けるのか」「何を見て行動してもらうのか」が抜けている。
キャンペーンやイベントの実施
→ 目立てばOKと考えて内容を詰めるが、ゴールが不明確。
→ 来場者はいたけど具体的な成果は何もない
・・・みたいな感じです。
どんなものでも、「考える」だけより「実行する」ことの方がずっとずっと価値があります。
とはいえ、時間も資金も人手も有限なので、最速で考えて動いてみる(試してみる)というのが、特に小さな事業においては大事なのではないかと考えているわけです。
この記事のまとめ
いかがでしたか?
こんな感じで、マーケティングにおいても第一、第二の創造という考え方は全く同じで、めちゃくちゃ重要ということを「7つの習慣」の一説をお借りしてご紹介しました。
ちなみに、本の中でコーヴィー博士は企業活動に対してもそのものずばり以下のように言及しています。
会社も同様である。会社を成功させるには、達成しようとしている目的が明確になっていなければならない。 ターゲット市場に合わせて、提供したい商品やサービスをよく考える。(中略)挫折する会社のほとんどは、その理由が第一の創造の失敗である。 資金調達の甘さ、マーケットに対する理解不足、きちんとした事業計画の欠如などである。(130頁)
もっとマーケ寄りの解説が良い!って人は戦略的マーケティングとは何か?基本戦略と実行戦略の2段階で考えようという記事がオススメです。
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